私が生まれて初めて食べたタイ料理の思い出
福岡の天神から、国体通りを六本松方面に、通称けやき通りと呼ばれる道を歩いて、警固の交差点を超えた先に、かつて緑色の看板のタイ料理店がありました。
お店の名前は
「サラリムナム」
もう20年以上前になりますが、私が生まれて初めて食べたタイ料理です。
残念ながら、すでに閉店していますが、最後に食べたときのお話をします。
20世紀の「サラリムナム」
当時、六本松あたりに住んでいて、天神に出るときはいつも自転車でけやき通りを通っていました。その途中で、アジアっぽい木製の棚と、緑色のタイ・レストラン「サラ・リム・ナム」と書かれた看板がずっと気になってました。
まだ、海外に行ったこともなく、外国の料理と言えば、ハンバーガー、パスタ、中華料理くらいしかなじみがなかった中で、タイ料理ってどんな料理なのかもわからずに、飛び込んでみました。
今と違って、何を注文すればいいのか、さっぱりわからないのでとりあえずにコース料理。何が出てきたのかちゃんと思えていないものの、最初に出てきた「ヤムウンセン」が辛くて悶絶。
その後、出てきた「トムヤムグン」の経験したことのない酸っぱ辛さと、タックライ(レモングラス)の風味に、美味しいとも苦手とも判断のつかない不思議な感情。
何品か続いた後、最後に出てきた「ゲーンキヤオワーン(グリーンカレー)」で、カオホムマリ(ジャスミンライス)の香りと、辛くてココナッツ甘いグリーンカレーのおいしさに感動。
最後のデザートの「サークーピアック(ココナッツミルク&タピオカ)」に癒されながら、最初のヤムウンセンが辛くてどうなることかと思ったけど、最後の甘いデザートで調度よくまとまるタイ料理に、すごく良い印象を持ったようなのが、記憶に残ってます。
当時は料理の写真を撮る文化がなかったので、当時の写真は1枚も残ってないです。
なので、もう、かなり、記憶がとぎれとぎれになってます。。。
この経験が、私のタイ料理好き、タイ好きの原点となったことは、間違いありません。
時は流れて2015年の「サラリムナム」
当時、東京に住んでいたのですが、福岡の友人から「サラリムナムが閉店するらしいよ!」と聞いて、どうしてももう一度訪れたくなって、福岡にやってきました。
店の内装は、まったく覚えていなかったけれど、テーブル、椅子、植物、ライト1つ1つの調度品がこだわりがあって、高級な伝統的なタイの雰囲気を作りだしています。
これも、タイの伝統的な焼き物「ベンジャロン焼」の色あざやかで細かい装飾の急須と茶碗です。
テーブルには、花が素敵な花が飾られています。タイではこの花も簡単に手に入るだろうけど、日本でなかなか大変でしょうね。こんなところにもこだわりを感じます。
「サラリムナム」ってどういう意味?
最初に訪れたときには意味の分からなかった「サラリムナム」タイ文字を読んで初めて意味がわかりました。
サラー(休憩所) リム(そばの) ナーム(水)
「水辺の庵」
って意味だったんですね。
「サラリムナム」での最後の料理
もう、コース料理を頼む必要はないので、メニューを見てもちろん単品で、コースには入ってなさそうな料理、でも定番の料理を注文。
「ラープ・ガイ」鶏の辛味サラダ、というのがいいのかどうか
タイの野菜(葉っぱ系)や、炒った米、紫たまねぎなど、入ってるべきものがきっちりと入っているラープ、付け合わせの生のキャベツも苦みのないおいしいキャベツ
「ゲーン・ペット」 いわゆるレッドカレー
こちらも入ってるべきタイの野菜(葉っぱ系)やインゲンはしっかりと入ってる。ナスは角を削ってあるなど、とても丁寧に作られた料理であることが見た目からもその味からも伝わってきます。
オーナーさんと、私が最初にお店を訪れたときの話などで盛り上がっていたら、最後にココナッツアイスのデザートをサービスでいただきました。
福岡の名店が閉店した理由
訪れた時間が早かったこともあり、お店がまだ空いていたので、女性のオーナーさんとゆっくりとお話する時間がありました。
一人のタイ人女性シェフの作るタイ料理の味にほれ込み、「サラリムナム」のオープンのときから、その女性シェフと20年以上ずっと一緒にお店をやってきたとのことでした。
女性シェフも年齢を重ね、休みなく働き続けることが難しくなってきて、サポートのシェフを探していたのですが、オーナーさん曰く「やはりこのシェフの味でないとダメだ」ということで、残念ながらやむなくお店を閉められる決断をされたとのことでした。
同じ味を、永遠に保ち続けることは本当に難しいと思いますが、自分のお気に入りの店、お気に入りの味が無くなってしまうのは残念極まりないです。
今も、「サラリムナム」があったらきっと通ってただろうな~。
私のタイ料理の原点は「サラリムナム」にあるというお話でした。
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